伊坂幸太郎「残り全部バケーション」
連載、書籍化、文庫化で手を加えるので有名な著者です。
いつもの文庫でなく、久々に新書で伊坂作品を読みました。
結論から言うと、とっても楽しい作品で、早く読めて幸せ。
既発表の4つと描き下ろしの1つの短編からなるのですが、
それぞれが2008年とか2010年の作品だったり、
発表順も単行本の順序と異なったりして
どうしてこんなにうまくまとまるのか不思議ですが、
とにかく最後の第五章で、全部まとまって”飛ぶ”のです。
書籍化に際して、話しの順にPHS→携帯→スマホに
書き直すなどの点が、読みやすくしているのでしょう。
第一章「残り全部バケーション」
一家解散となる3人家族が「岡田」とドライブする話。
『適番でメールしてみました。
友だちになろうよ。ドライブとか食事とか。』
『明日から、もう俺の人生、
残り全部、バケーションみたいなものだし。』
『レバーをドライブに入れておけば勝手に前に進む。』
第二章「タキオン作戦」
「岡田」がとんでもない作戦で小学生を虐待から助けようとする話。
『では、加速するのではなく、
もともと、光より早い物質があったらどうなんだ。』
第三章「検問」
「溝口」と「太田」に車に閉じ込めれた女性が逃げ出そうとする話。
『マニュアル車なんて、まだあるんだな。』
『作業は一つずつ、こなしていけばいい。分担するのだ。』
第四章「小さな兵隊」
僕が問題児の「岡田君」と弓子先生を守ろうとする話。
『連絡してって簡単に言うけどな、
電話ってのは持ち歩いてるものじゃねんだぞ。』
『弓子先生は、餌やりを忘れたことは起こるけれど、
その子を軽蔑したりはしない。』
アドバルーンの男はいい加減で誰かに似ている。
第五章「飛べても8分」
「溝口」の新しい相棒は、知的で合理的な「高田」。
この話が断然面白くて、他の話もグッと活きてくる。
『飛んでも八分、歩いて十分。』
『俺なら飛ぶぜ。だってお前、飛びたいじゃねえか。』
そういえば、最初の話に出てくる3人家族の娘の名前は早希だった。
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Comments
早ーい!
読みたくて図書館で予約中ですが、まだまだ順番待ちです(笑)
面白そうだから楽しみ(^-^)
Posted by: ともり | Mar 24, 2013 03:24 PM
ともりさん>
これは面白かったよー。
作者がとにかく面白いもの、と思って書いたそうです。
Posted by: やすなり | Mar 24, 2013 10:50 PM