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Aug 03, 2013

竹田いさみ「世界を動かす海賊」

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帯には、
大震災が起きた3・11に海上保安官がソマリア沖海賊を逮捕した、
時を同じくして羽田から海保のガルフが飛び立った、と書かれてある。
少し前までは、海賊といえば、マラッカ・シンガポールだったが、
2008年に日本郵船のタンカーがアデン沖で被弾、
その後も日本の船がソマリア沖で攻撃される事件が続いた。
2009年には海賊対処法が成立し、
海上自衛隊などが航行する船舶を護衛しているが、
未だソマリア沖、アデン湾の海賊の恐怖は続いている。

【序章 海は日本の生命線】
海賊の出没ポイントは、重要な航路やチョークポイント。
マラッカの海賊は強盗犯だが、
ソマリアは船と乗組員を人質に、10億を超える身代金。

【第1章 危険な海】
BMPにて定められた南緯10度、東経78度で囲まれる
ハイリスクエリアでは、波・風の中、18ノットで航行せよ。
この海域で2008から12年に発生した海賊事件は890件、
その被害は、人質3,416人、殺害25人、負傷30人。

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【第2章 海賊の実態とその正体】
ソマリア本土から母船(大型グラスファイバー製ボート)で沖合へ。
インド洋の海流に乗るとエンジンを切って洋上をさまよう。
標的の商船を見つけると、航行する小型高速ボートで襲撃。
ソマリア沖ではなく、千キロも離れたインド洋上でも。
洋上生活が長くなると、見つけ次第、どんな船でも襲う。
雨水も魚もなくなれば、漁船でも襲う。
血縁関係の1チーム10人前後で、母船1隻、ボート2隻を持つ。
小型武器のほか、GPSと衛星電話など電子機器類、
食料、飲料水、日用雑貨一式が標準装備(即ち、組織的)。
自動小銃やロケット砲でブリッジを攻撃、
船に乗り込んでハイジャックする。
ソマリア沖まで移動させ、長期に船と人質を拘束。
アジア海賊の武器がナイフや長刀であるのに対し、
アフリカ海賊は内戦で溢れた銃火器を持つ。
身代金は指定した陸地・海上に投下させ、回収。
多額の身代金は欧州で浄化され、ドバイの不動産市場へ?
当初、海賊の正体は海外漁船に漁場を奪われた哀れな漁民と言われたが、
ソマリア沖で台湾・ロシア漁船などの密漁を摘発する
自前の沿岸警備隊(破綻国家故に警察もなく非合法)が、
海外の民間セキュリティー会社(元軍隊)の研修プログラムを通じて、
近代的な操船・警備を学び、結果的に近代的な海賊を生んだ?

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アデン湾のソマリア海賊(ノルウェー国連ミッションのHPから)

【第3章 国益のための海賊対策】
各国の特に海軍が協力して海賊対策を行う。
ちなみに、ソマリア沖・アデン湾で日本が行っている
海賊対処の活動状況などは、以下で確認できる。
ソマリア沖・アデン湾における海賊対処(防衛省)
商船の最も効果的な自衛措置は、民間武装ガードを乗船させること。
武装以外で、商船に求められる対策・装備の記載を期待していたが、
シタデル(避難所)という言葉以外に具体的なものが見つからず、残念。
最後にソマリア海賊退治(それに代わるビジネス)として、
水産業、流通、天然ガス開発の起業を提案している。

(参考)ソマリア沖の海賊(ウィキペディア)

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